オフショア開発のメリットとして ・開発コストの削減 ・優秀なエンジニアリソースの確保 ・専属の開発チームによる品質の安定 などが挙げれる一方、オフショア開発にはデメリットもあり「過去にオフショア開発で失敗という話を聞き、オフショア開発に漠然とした不安がある」というお声もよく聞きます。
本記事では『オフショア開発のデメリットと失敗しない為に知っておきたい4つのポイント』についてお伝えしていきます。
オフショア開発のデメリット
オフショア開発のデメリットとして言語の壁・文化の壁・時差・物理的距離などが上げられそれらが要因となり下記のような問題が発生する可能性があります。
- コミュニケーションコストが高くなる
- 求めている品質レベルとの乖離が生じる
- 時差などの影響によるスケジュール遅延
- ビジネス習慣の違いなどを理解する必要がある
- コストメリットが出せない可能性がある
それぞれどのような理由で問題が発生してしまうのか見て行きましょう
コミュニケーションコストが高くなる
オフショア開発では海外のリソースを活用するため、コミュニケーションコストが高くなることがあります。
オフショア開発では言語の違いを解消するためブリッジSEという、クライアントと現地スタッフの間に入りコミュニケーションの架け橋を担うシステムエンジニアがいます。
ブリッジSEは設計書を翻訳し現地スタッフへ説明する重要なポジションですが、経験や能力については個人差があり、経験の少ないブリッジSEの場合は日本独特の言い回しや日本式のホウレンソウを熟知していない可能性があります。
また、文化の違いや物理的な距離の影響もあり日本人同士であれば伝わることがオフショア開発の場合はクライアントとオフショア開発拠点スタッフの間で認識のズレが発生してしまうこともあります。認識のズレを起こさないためにも丁寧なコミュニケーションが必要となり、結果としてコミュニケーションコストが高くなってしまう可能性があります。
求めている品質レベルとの乖離が生じる
オフショア開発では求めている品質レベルとの乖離が生じる可能性があります。
日本の製造分野で得られたプロダクトの品質保証や、長年に渡る数多くのITトラブルから蓄積された品質保証の考え方は、世界最高峰の “ジャパンクオリティー” を築き上げてきました。
しかしオフショア開発においては、日本独自の商習慣や品質に関するノウハウや技法を知らないことや”良い品質”の基準が異なること、また上記でお伝えしたコミュニケーションによる認識のズレなどから、日本では当たり前品質を期待していたものが、オフショア開発では求めている品質レベルとの乖離が生じる可能性があります。
時差などの影響によるスケジュール遅延
オフショア開発では時差などの影響によりスケジュールが遅延してしまうことがあります。
日本とオフショア開発国との時差や祝日が異なることから、仕様変更やトラブルの発生時などすぐに確認を行いたい場合に時間を要してしまう場合があります。(日本においては時差の少ない東南アジアのオフショア開発が人気の理由の一つです。)
また、文化的・地理的な隔たりによる進捗管理の難しさや認識のズレにより何度も修正が発生してしまうなど、結果としてスケジュールが間に合わないということが起こる可能性があります。
ビジネス習慣の違いなどを理解する必要がある
オフショア開発を行う上でオフショア開発先国のビジネス習慣や文化の違いを理解することはとても重要です。国が違えばビジネスの習慣が異なります。
例えばベトナム人はスケジュールへの問題意識が日本人と比べ低い傾向があります。本人たちは何とか間に合うと思っていたものが結局間に合わずの納期ぎりぎりに間に合いませんと報告を上げてくることがあります。
間に合う、間に合わないの具体的な根拠を確認し、いつでも相談しやすい環境を作っておく(毎朝ミーティングを行うなど)事前に対策を取る必要があります。
コストメリットが出せない可能性がある
【開発コストの削減】を行う為に、オフショア開発の活用を選択したにも関わらず、コスト削減ができないこともあります。
オフショア開発の場合、開発エンジニア以外にコミュニケーションサポートを行うブリッジSEやクオリティーを上げるためのQCなどの役割のメンバーが必要となります。
日本人開発エンジニア1人~2人月で対応できるような小規模プロジェクトなどは日本人開発エンジニアの1人当たりの人件費とオフショア開発チームのトータル人数の金額は大幅に変わりません。コミュニケーションコストなどを考えると結果としてオフショア開発を活用してもコストメリットが出せない可能性もあります。
>>オフショア開発とは?活用メリット・オフショア開発会社の選び方
オフショア開発で失敗しない為に注意すべき4つのポイント
ここからは上記で挙げたデメリットにうまく対処できるよう、注意すべき4つのポイントをご紹介します
対策1:オフショア開発に合う案件を選択する・ラボ型開発を選択する
オフショア開発を失敗に終わらせない為には、オフショア開発に合う案件を選ぶことが大切です。下記の項目を確認することをお勧めします。
【オフショア開発に向いている案件】
・単発で終わるのではなく、半年以上継続するような5~10人月程度の案件
・業界特有の(理解に時間を要する)複雑な業務ロジックを含まない案件
・独立性の高い案件
・JavaやPHP、Webサービスなどの今の技術を使用する案件
また、ラボ型開発を選択することもお勧めです。ラボ型開発を選択し、ある一定のメンバーを継続して活用することによりビジネスフローや業務ロジックの理解が深まり、オフショア開発先にナレッジが蓄積することで品質や生産性を向上にも繋がります。
対策2:PJ開始前に双方の理解を深める
オフショア開発ではPJを開始する前に日本側とオフショア開発拠点側のメンバー全員の理解を深め共通の認識を持つことがとても重要です。開発スタート後もメンバーがビジネスについて理解できていないという事態は避けたいです。
その為、PJ開始前には全メンバーでのキックオフを行うことをお勧めします。
お互いメンバー紹介や挨拶だけではあまり意味をなさず、いかに心理的安全を作り上げ、チームビルディングの場として成立させるかが重要です。
【オフショア開発におけるキックオフアジェンダ例】
・自己紹介(役割/どういうときに相談して欲しいか/趣味などのパーソナルなことも)
・提案書や社内の企画書など、プロジェクトの目的・背景や課題に関わる詳細説明
・会議体(日時/議題・アジェンダ/参加者/議事録担当などの役割)
・PJ運営の詳細(開発プロセス、納期、ホウレンソウ/エスカレーションパス)
・現状の業務フローと、新業務フロー(変わることの明確化)
・日本独自と思われることの詳細説明(商習慣、各種業務等)
・ディスカッション
上記の項目を参考にプロジェクトについて時間を掛けて説明しましょう。
PJ開始前に日本側が求める品質や納期をオフショア開発拠点のスタッフに理解・納得してもらった上で開発をスタートできれば彼らのモチベーションや後の品質が良い方向に進むことに繋がります。
対策3:コミュニケーションの方法を工夫する
オフショア開発を失敗させてないためにはコミュニケーションの方法にも注意が必要です。
オフショア開発を進めるうえで、進捗報告やレビューなどプロジェクトの様々な場面でオフショア開発拠点のメンバーとコミュニケーションを取る機会があるかと思いますが、コミュニケーションの方法を工夫することで認識のズレの回避やコミュニケーションコストを削減できることに繋がります。
【オフショア開発におけるコミュニケーションの工夫】
・翻訳が必要な資料は短文・完結・箇条書き・粒度をそろえた日本語にして書くようにする
・用語集を作成する(日本語、英語、現地で並列表記する)
・報連相の方法を明確にしておく(いつ、誰が、どのように)
・進捗報告は定型フォーマットを活用し、記載内容の属人化を防ぐ
・議事録担当者を決め、会議毎に記録を取り共有する(言った言わないを防ぐ)
・丁寧な日本語を使いすぎず、指示を明確にする
・相手が理解したか、確認を行う(「大丈夫です」ではなく、具体的に説明してもらう)
・クライアント側とBSEは時間を決めて日々、進捗確認を行う(15分-30分程度でも毎日やる)
オフショア開発拠点のメンバーからの質問や意見を出しやすいように、クライアント側は積極的に話しかけ、理解度を確認し、ディスカッションの際には無茶ぶりを含めてブレーンストーミングが起こるように進行しましょう。
対策4:早期に品質のチェックを行う
どのシステム開発に置いても共通する話ですが、特にオフショア開発は品質に注意し異常や違和感を早期に発見して、早い段階で修正を行うことが重要です。
開発スタート時は特に短い期間で品質の確認を行い、品質が良くない場合には、スキル不足によるものなのか、仕様の理解不足によるものなのか、原因探り、解決策を検討しましょう。
日本企業にはベトナムオフショア開発が向いている
ここまではオフショア開発のデメリットと失敗しない為のポイントについてお話しさせて頂きましたが、コミュニケーションをしっかり取ること、関係性をうまく作り上げることがオフショア開発においては重要であることを理解して頂いたかと思います。その上で日本企業にとって最適なオフショア開発先と今注目を集めているオフショア開発先国がベトナムです。
オフショア開発先としてベトナムを選択することで日本企業にとって様々なメリットがあり、上記であげたデメリットを低減することにも繋がります。
【日本企業がベトナムをオフショア開発として選ぶメリット】
・親日国である
・日本での就業経験を持ち日本式のビジネス習慣を理解しているブリッジSEが多い
・若くて優秀なエンジニアが豊富
・最新の技術要素を身に着けている
・日本と比較して人件費が安いため、開発コストが削減が期待できる
・時差が2時間
・日本よりベトナムの方が営業日数が多い
・日本からのアクセスも良く、出張に行きやすい
・インフラ環境が整っている
・政治情勢が安定している
ベトナムオフショア開発は上記のようなメリットがあり、オフショア開発におけるデメリットを少しでも低減できる要素があることからとても人気が高くなってます。
また、ベトナムはIT人材も豊富で日本のリソース不足の課題を解消するにはベトナムオフショア開発の選択は必要不可欠となり、今後益々需要が高くなることが予想されるでしょう。
オフショア開発を検討する際はぜひ、ベトナムオフショア開発を候補に入れてみては如何でしょうか?
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