現代社会において、コンピューターシステムはビジネスや社会生活に欠かせないものとなっており、システム開発は非常に重要な役割を果たしています。
システム開発には、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどの技術が必要とされ、また要件定義や設計、開発、テスト、運用・保守など、システム開発における様々な工程適切に進めることが必要です。
本記事では、システム開発について、その基本的な概念やプロセス、開発手法、など「システム開発とは?目的・工程・開発手法・成功のコツをご紹介」について解説します。
目次
システム開発とは
システム開発は、企業や組織の課題、業務プロセス改善や新しいビジネスモデルを実現するなど、ある特定の目的を達成するため「仕組み」をコンピューターシステムを使って実現することやその一連のプロセス(設計、開発、テスト、運用、保守)を指します。
システム開発は、多くの場合、ソフトウェア開発と同じように使用されますが、より広い範囲をカバーする用語です。情報システムの開発だけでなく、ネットワークやデータベースの設計、ITインフラの構築、そしてITサポートなど、多くの分野にまたがっています。
例えば、製造業では、生産ラインの自動化によって生産効率を向上させるための制御システムが開発されます。また、金融業界では、オンライン取引システムやクレジットカード認証システムなどが開発されています。そのため、システム開発には、多数の専門家が関わります。プロジェクトマネージャー、システムアーキテクト、プログラマー、テスター、またハードウェアの設計や導入も含まれる場合があります。
システム開発の目的とは
システム開発の目的は、コンピューターシステムを設計・開発し、ビジネスや社会の課題を解決することです。 システム開発によって、ビジネスプロセスの効率化やコスト削減、サービスの向上など、多くのメリットが得られます。
ビジネスの効率化
システム開発によって、ビジネスプロセスを自動化し、業務の効率化や生産性の向上を図ることができます。例えば、在庫管理システムや勤怠管理システムなどがあります。
情報の共有化
システム開発によって、情報の共有化を図り、情報の漏洩や重複を防止することができます。例えば、社内の文書管理システムや顧客情報管理システムなどがあります。
新しい価値の創造
システム開発によって、新しいサービスや製品を提供し、顧客のニーズに応えることができます。例えば、オンラインショッピングサイトやSNSなどがあります。
安全性の確保
システム開発によって、情報セキュリティの強化や、事故やトラブルのリスクを低減することができます。例えば、セキュリティ対策の強化や、災害対策のシステム開発などがあります。
ユーザビリティの向上
システム開発によって、ユーザビリティの向上を図り、ユーザーのストレスを軽減することができます。例えば、スマートフォンアプリの開発や、ウェブサイトの改善などがあります。
以上のように、システム開発には様々な目的があります。これらの目的を達成するために、プロジェクトの目的や要件に応じたシステムを設計・開発する必要があります。
ソフトウェア開発とシステム開発の違いは
ソフトウェア開発とシステム開発は、共通点もありますが、異なる側面もあります。それぞれの違いを見て行きましょう。
ソフトウェア開発は、コンピューターシステムに関するソフトウェアの設計、開発、テスト、保守などを行うプロセスを指します。これは、アプリケーションやWebサイトの開発、デスクトップアプリケーションの開発、モバイルアプリケーションの開発などを含みます。
一方、システム開発は、コンピューターシステム全体に関する開発プロセスを指します。これには、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、ストレージ、セキュリティなど、コンピューターシステム全体をカバーする要素が含まれます。システム開発は、大規模なシステム、例えばエンタープライズシステムやデータセンターの開発、インフラストラクチャの構築などを含みます。
一般的に、ソフトウェア開発は、単一のアプリケーションやツールの開発に焦点を当てていますが、システム開発は、複数のコンポーネントや要素を調整して、大規模なシステムを構築することに焦点を当てています。また、システム開発は、ハードウェアやネットワークなど、ソフトウェア開発に比べてより広範囲な技術的な知識が必要となります。
>>ソフトウェア開発とは?システム開発との違い・種類・手法・開発の流れやコツをご紹介
システム開発の工程
システム開発の工程とは、システム開発を行う際に必要な一連のプロセスや活動のことです。 要件定義や設計など、開発プロセスの初期段階にあたる工程は上流工程とよばれ、 実装やテスト、導入、保守など、開発プロセスの後半段階にあたる工程のことを下流工程と言います。
一般的に、システム開発は以下のような工程で進められます。
要件定義(要求定義)
要件定義とは、システムがどのような機能や性能を持ち、どのような要件を満たす必要があるかを明確にするための工程です。
具体的には、利用者や関係者とのコミュニケーションを通じて、システムが解決すべき問題や要望を収集し、整理します。そして、その要件をもとに、システムが満たすべき機能や性能、制約条件などを明確にします。また、要件の優先順位を決定し、開発の方向性を定めます。
要件定義の重要性は、システム開発において非常に高いです。要件が明確に定義されていない場合、開発者は何を作成すべきかを判断することができず、無駄な作業や開発期間の延長、コストの増加などが発生することがあります。また、要件定義を適切に行うことで、利用者のニーズに合わせた使いやすいシステムを提供することができます。
基本設計(外部設計)
基本設計とは、要件定義の内容を基に、システムの仕様を詳細に定義する工程です。 要件定義で洗い出した機能や制約条件を、システム全体を俯瞰した視点から詳細に設計します。 システムがどのように動作するのか、どのような機能を持つのか、どのようなデータを扱うのかなどを明確にします。
基本設計の成果物としては、システム概要、システムアーキテクチャ、データモデル、プログラム構造、インタフェース仕様書などが挙げられます。これらの成果物をもとに、詳細設計や実装に進んでいくことになります。
基本設計はシステム開発において非常に重要な工程であり、十分な時間と資源をかけることが求められます。基本設計を丁寧に行うことで、システムの品質を向上させ、開発プロセス全体の効率化につながります。
詳細設計(内部設計)
詳細設計とは、要件定義の後に行われる工程の一つで、システムが満たすべき要件に基づいて、システムの内部構造や機能、データ構造などを詳細に設計することを指します。 詳細設計は、開発者や利用者の理解を促進するためにも非常に重要な工程です。
具体的には、要件定義で定義されたシステムの機能や性能を実現するために必要なプログラムやデータベースの設計、ユーザーインタフェースの設計、システムのアーキテクチャやモジュール構成などを詳細に設計します。また、設計の過程でテスト条件も明確にし、テスト計画を作成することもあります。
詳細設計が不十分であった場合、実装の段階で多くの問題が発生することがあるため、基本設計同様重要視される工程となります。
プログラミング(実装)
プログラミングとは、詳細設計で設計されたシステムの機能や仕様を実現するために、プログラミング言語を用いてソフトウェアを開発することを指します。
プログラミング言語代表的なものには、Java、Python、C++、C#、Ruby、PHPなどがあり、それぞれの言語には、特性が異なるため、プロジェクトの目的に応じて適切な言語を選択する必要があります。
適切なプログラミング言語やアルゴリズムを選定し、正確なコーディングを行い、デバッグやテストを適切に実施することで、高品質で信頼性の高いシステムを開発することができます。
単体テスト
単体テストとは、プログラムの個々の部品(モジュール)を単独でテストすることを指します。単体テストを行うことで、プログラムの動作やエラー処理の問題点を早期に発見することができます。
具体的には、プログラムの個々の関数や手続きなど、単位となる部品を分離してテストします。入力データを与えて、出力が期待通りになるかどうかを確認することが主な目的です。
結合テスト
結合テストとは、単体テストが終わった後に行われるテストで、システム全体の機能や性能を検証するために欠かせない工程です。単体テストを終えたモジュールを組み合わせて、システム全体の機能や性能を確認するテストのことを指します。 結合テストで発生した問題や不具合は、修正された後に再度結合テストを実施して、問題が解決されたことを確認する必要があります。
システムテスト
システムテストとは、、開発が完了し、ユーザーに納品される前に実施されるテストの一つであり、システムの正確性や信頼性を確認するために重要なテストです。 システム全体の機能や性能を検証するため、ユーザーのシナリオに基づいたテストを行います。具体的には、正常系や異常系のテストケースを作成し、入力データを用いてシステムの振る舞いを確認します。また、負荷テストやストレステスト、セキュリティテストなどのテストも実施し、システムの信頼性や耐久性を確認します。
リリース
リリースとは、開発及びシステムテストが完了し不具合が修正され、システムが正式に公開及びユーザーが利用できるようになることを意味します
リリース前には、最終的な品質管理が行われ、ユーザーに提供されるシステムが品質基準を満たしていることを確認する必要があります。
リリース後は、システムの運用や保守が行われます。ユーザーからのフィードバックや不具合報告に対応しながら、システムを改善し、適宜バージョンアップを行います。また、システムのセキュリティ対策や運用管理などの管理作業も必要になります。
運用・保守
システム開発が完了後も、システムを運用し続ける必要があります。運用とは、システムが順調に動作し問題が発生しないようにすること、保守とは、システムに不具合が発生した場合に修正することです。運用と保守は、システム開発後に継続して行われるため、コストや時間がかかることがあります。
運用・保守には、以下のような工程が含まれます。
- 問い合わせ対応:ユーザーからの問い合わせや不具合報告に対応し、問題を解決することが求められます。問い合わせに対する迅速な対応は、ユーザーの信頼を得るために重要です。
- 不具合修正:運用中に発生した不具合を修正することが求められます。不具合の原因を特定し、修正することで、システムの安定性や品質を維持することができます。
- 機能改善:ユーザーの要望やフィードバックを取り入れ、システムの機能改善を行います。機能改善によって、システムの使いやすさや生産性が向上することが期待されます。
- システム監視:システムの稼働状況や性能を監視し、問題が発生しないようにすることが求められます。監視結果に基づいて、システムの改善やチューニングを行うことで、システムの安定性やパフォーマンスを維持することができます。
- ドキュメンテーションの更新:システムの運用や保守に関するドキュメンテーションを更新することで、システムの管理や保守が円滑に行われるようにします。
運用・保守は、システムの品質や安定性を維持するために重要な作業であり、システム開発チームとユーザー間の信頼関係を築く上でも重要な役割を果たしています。
システム開発の手法とは
システム開発には、様々な開発手法が存在します。以下に代表的な開発手法をいくつか紹介します。
ウォーターフォールモデル
ウォーターフォールモデルは、システム開発の手法の一つで、開発工程を段階的に進める手法です。工程は、要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト、運用・保守の6つに分かれており、前の工程が完了しないと次の工程に進めないという特徴があります。
ウォーターフォールモデルでは、最初に要件定義でユーザーの要望を把握し、その後に設計、実装、テスト、運用・保守という順序で進めます。このため、工程ごとに進捗管理がしやすく、バグの早期発見や修正が容易になります。
しかし、ウォーターフォールモデルは、開発前に全ての要件を洗い出すことが難しく、要件変更が生じた場合にコストやスケジュールに影響を与えることがあります。また、ユーザーの要望や市場環境が変化する場合には、柔軟に対応することができないという欠点もあります。
アジャイル開発
アジャイル開発は、ウォーターフォールモデルに代わる、柔軟で迅速なシステム開発手法です。従来の大規模な要件定義や設計フェーズを省き、小さなサイクル(スプリント)で開発を進めます。スプリントごとにユーザーの要望を取り入れたり、フィードバックを取ったりすることで、柔軟に開発を進めることができます。
アジャイル開発の特徴は、要求の変更に対応しやすいことです。また、小さなスプリント単位で進めることで、進捗管理やバグの早期発見、修正がしやすくなります。開発チームのコミュニケーションを重視し、開発の現場での意思決定を迅速に行うことができます。
スクラム
スクラムはアジャイル開発の一つであり、複数人の開発チームが協力して一つのソフトウェアを開発するためのフレームワークです。スプリントと呼ばれる短い期間で開発を進め、各スプリント終了後にプロダクトの機能や品質を改善することを目的としています。
スクラムにおける役割には、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チームがあります。プロダクトオーナーはプロダクトに関する要望や優先順位を決定し、スクラムマスターは開発チームをサポートし、開発チームはスプリントごとに開発を進めます。
スクラムはコミュニケーションの重要性を強調しており、定期的に行われるスクラムミーティングやスプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブなどのイベントを通じて、開発チーム内や顧客とのコミュニケーションを図ることが求められます。
プロトタイピング
プロトタイピングは、システム開発において早期に製品のモックアップ(試作品)を作成し、試験や検証を行う手法です。要件定義や基本設計の段階で作成された仕様書を元に、実際に動くプロトタイプを作成し、利用者や関係者からのフィードバックを得ることで、改善や修正を加えることができます。
プロトタイピングは、開発リスクを軽減することができ、開発期間の短縮や開発コストの削減にもつながります。また、ユーザーのニーズを把握し、要件を明確にすることができるため、開発したシステムの利便性や使いやすさを高めることができます。
ただし、プロトタイプを作成するための時間やコストが必要であること、プロトタイプに基づいて開発を進めるため、要件の変更があった場合には再度プロトタイプを作成する必要があることなど、注意点もあります。
システム開発を成功させる為のコツ
システム開発を成功させるに工夫やコツがいくつかありますが、まずは下記5つのポイントをしっかりと抑えて置くことが成功の鍵となります。
要件定義の徹底
ユーザーが必要とする機能や要件を明確にし、その要件に対応する開発を行うことが重要です。要件定義に時間をかけ、ユーザーとのコミュニケーションを密に行い、要件定義の不備を未然に防ぐことが求められます。
チームワークの確立
システム開発には複数の人材が関わります。開発チーム内での円滑なコミュニケーションやタスクの分担、スケジュール管理などが必要です。開発メンバー間の信頼関係を築くことで、開発プロセスを円滑に進めることができます。
品質管理の徹底
コード品質の向上やテストの徹底を行い、不具合を未然に防ぐことが重要です。品質管理のプロセスを明確にし、そのプロセスに沿ってコードのレビューを行うことで、品質を向上させることができます。
スケジュール管理の徹底
プロジェクトのスケジュールを遵守し、適切な管理を行うことが重要です。スケジュール管理を徹底し、進捗状況を適切に把握することで、プロジェクトの成功につなげることができます。
コミュニケーションの徹底
開発者とユーザー、開発者同士など、コミュニケーションが円滑であることが重要です。情報共有を促進するために、メンバー間でのミーティングや報告書の共有などを行うことで、開発プロセスを改善することができます。
以上がシステム開発における成功の鍵となる点です。これらの点を徹底し、プロジェクトに取り組むことで、高品質かつ効率的なシステムの開発が可能になります。
システム開発会社の選定方法
システム会社を選定する際には、以下のようなポイントを確認することをお勧めします。
過去の実績を確認する
システム会社が、過去にどのような実績を持っているのか、どの程度の信頼性があるのかを調べることが大切です。また、開発に参加するエンジニアのスキルや経験なども確認しておくことが必要です。
要望に沿った提案をしてくれるか
システム開発は、そのビジネスに合わせた仕様や機能を実現することが求められます。そのため、選定するシステム会社がビジネスの本質を理解し、その要望に沿ったシステム開発を提案してくれるか確認しましょう
開発プロセスの透明性
開発プロセスの透明性は、システム会社の選定においても重要です。システム会社が、開発プロセスをどのように進めているか、進捗状況はどのように報告されるのか、詳細に説明してくれるかどうかを確認することが必要です。
開発担当者とのコミュニケーションを事前に行う
システム開発は、複数の人材が関わります。そのため、システム会社が適切なコミュニケーションを行い、開発者との意思疎通が円滑にできるかどうかを確認することが必要です。営業さんだけでなくプロジェクトスタート後の開発担当者と事前に打ち合わせを実施し、コミュニケーションが合うか確認しましょう。また希望を出せば、オフィスまで足を運んでくれるかなど事前に確認しておくと良いでしょう。
以上が、システム会社の選定において注目すべきポイントです。これらのポイントを踏まえて、複数のシステム会社を比較検討し、最適なシステム会社を選定することが重要です。
まとめ
システム開発とは、情報システムを構築するためのプロセスです。顧客のニーズを把握し、必要なシステムを開発することが目的であり、開発プロセスには要件定義、設計、開発、テスト、運用・保守といった一連の作業が含まれます。
システム開発の成功には、顧客の要件に合致したシステムを開発すること、品質や効率性の向上、運用・保守においてシステムの信頼性や安定性を確保することが不可欠です。そのためには、チームワークやコミュニケーションの重要性、最新技術の継続的な学習や導入、顧客との継続的なコミュニケーションなどが必要です。
・システムエンジニアの種類については、こちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:システムエンジニアの種類(web系/汎用系/オープン系/制御系)について | 株式会社パラダイムシフト」
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