COBOLといえば、金融や自治体、保険、製造業など、日本社会を陰で支え続けてきた歴史ある言語です。ふだんは真面目に「人材不足」や「保守体制」といったシビアなテーマを扱うことが多いのですが、今回は少し毛色を変えて、COBOLが使われている現場でよく耳にする“あるある”をユーモラスにまとめてみました。肩の力を抜いて、「そんなことある!」と共感していただければ幸いです。
目次
画面が緑一色の世界
COBOLの現場でよく目にするのは、黒ではなく深い緑色に輝く端末画面です。見にくいのに、ベテランの手は迷いなく走り、新人は目を細めてメガネを押し上げる。慣れてしまえば、どんな開発環境でも怖くなくなるという妙な自信が身につきます。
新人はまず“JCL”で心を折られる
COBOLを学ぶと思っていた新人が最初に直面するのは、プログラム本体ではなく「JCL(ジョブ制御言語)」です。呪文のような記述に面食らい、「これがプログラミングなのか」と心が折れかけるのは通過儀礼のようなものです。
ドキュメントより先に“Excel職人”が君臨
設計書よりも先に目にするのは、謎のExcelファイル。マクロが組み込まれた巨大スプレッドシートが“真の仕様書”として扱われ、これを自在に操れる人が一番頼られます。現場ではExcelがシステムを凌駕することも珍しくありません。
修正依頼が“1桁ずらして”で通じる
「この項目を1桁右に寄せて」と言われれば、誰も疑問を持たずに作業が進みます。業務フロー全体よりも帳票の桁揃えが重視され、ユーザー評価はシステムの挙動ではなく印字の並びで決まることもあります。
リプレイス議論が“20年以上”続いている
会議で「もうCOBOLをやめよう」という話題が出るのは恒例行事。しかし結論が出る前に保守延長が決まり、新たな改修案件が積み上がります。刷新プロジェクトは都市伝説のように語られ続けています。
“この人がいなければ終わる”が現実にある
属人化はリスクだと誰もが理解していながら、実際に「この人がいなければ動かない」システムは存在します。退職の噂が流れると現場は凍りつき、その人の機嫌取りが最重要タスクになることもあります。
祝日前は“法改正対応祭り”
大型連休の直前は、必ずといってよいほど法改正対応が発生します。税制や社会保険料の計算方法が変わり、連休どころではなくなるのです。世間が休暇に入る頃、COBOL現場では徹夜の修羅場が始まります。
プログラム名が“謎の5文字”
「AAAA1」「ZZZ99」といった、意味不明なプログラム名がずらりと並んでいます。誰も由来を説明できないまま引き継がれ、また次の世代へと受け継がれる。命名規則など存在せず、唯一のルールは「とりあえず動けばよい」です。
テストケースは“電卓”で検証
テスト環境が十分でなくても問題ありません。電卓と紙があれば立派な検証ツールです。人間電卓となって数字を突き合わせ、正しい値が出るまで確認。最終的には「紙と鉛筆が最強」という原始的スタイルに戻ります。
「COBOLってまだあるの?」に疲弊
家族や友人に仕事の話をすると、必ずといっていいほど聞かれる質問です。「まだあるの?」と驚かれるたびに、心の中で「むしろこれがなければ社会が止まるのに」と叫びたくなります。説明に疲れ果て、結局「銀行のシステムとかで使われているよ」とだけ答えるのが定番です。
おわりに
古く、非効率で、属人化しやすいと言われるCOBOLですが、そこには長年の歴史で培われた文化や知恵が根づいています。今回ご紹介した“あるある”は、苦労や課題を笑い話にできるだけの経験の証でもあります。次に「COBOLってまだあるの?」と聞かれたときには、ぜひこれらのエピソードを話のネタにしてみてください。