こんにちは!スマラボ事業部の磯野です。

COBOLシステムを運用保守する企業にとって、国内委託は人材不足が深刻化し、中国オフショアはかつてのような安定性を失いつつあります。「COBOL保守は国内か中国」という選択肢しかなかった時代から、状況は大きく変化しています。
現在、COBOL人材を長期的に確保する新しい選択肢として、ベトナムに注目する動きが生まれ始めています

本記事では、中国オフショアの現状とExit Chinaの動き、そしてベトナムが新しい選択肢として注目される理由を解説します。

この記事はこんな人にオススメ!

  • COBOL保守を中国オフショアに委託しているが、今後の継続に不安を感じている
  • 国内委託だけではCOBOL人材が確保できず、長期的な体制構築を模索している
  • 「ベトナムでもCOBOL保守ができるのか?」と新しい選択肢を探している

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中国オフショアが抱える現在の課題

かつてCOBOL保守のオフショアといえば中国一択でしたが、その構図は崩れつつあります。理由はいくつもありますが、代表的なのは以下の4つです。

まず、人件費の高騰です。沿岸都市のエンジニアの給与は年々上がり、国内委託と比べたコストメリットがほとんどなくなっています。

次に、日本語対応できる人材の減少です。若手エンジニアはモダンな技術を志向する傾向が強く、COBOLに長く携わりたいと考える人が少なくなっています。

さらに、セキュリティ面のリスクが顕在化しています。金融や公共系の企業を中心に、中国オフショアに対するセキュリティ懸念が強まり、地政学リスクもあいまって契約見直しが進んでいます。

最後に、パートナー企業の撤退です。中国でCOBOL保守を担っていた中小規模の企業が、採算や人材確保の難しさから事業縮小や撤退を選ぶケースが増えています。こうした変化が、長期的に運用を続けたい企業にとって大きな不安材料になっています。

Exit Chinaが加速する理由

こうした課題が積み重なり、いま「Exit China」と呼ばれる動きが加速しています。

実際に、大手SIerをはじめ多くの企業が中国オフショア体制を縮小し、国内回帰や他国へのシフトを検討しています。しかし、国内回帰だけではCOBOL人材不足を解消できません。若手を育成してもすぐに離職してしまい、ベテランは高齢化し続けています。

COBOLシステムを持つ企業の多くは、マイグレーションを進めるよりも現行資産を維持する方針を取っています。つまり、中期的に安定した人材を確保することが、経営課題として避けられなくなっているのです。
この状況が、COBOL保守を海外に委託する新しい国を探すきっかけになっています。

新たな選択肢としてのベトナム

ベトナムは、近年オフショア開発全体で存在感を増しており、COBOL保守でも注目が高まっています。

その理由の一つが、大学連携によるCOBOL人材育成スキームです。例えば、当社が提携するHong Duc大学では、在学中からCOBOL基礎・実務教育を受け、選抜された優秀層がオフショアチームに参加します。これにより、若手が継続的に供給される仕組みが整っています。

さらに、地方拠点を活用した長期的な定着が可能です。タインホア省のように都市部への転職機会が少ない地域では、地元志向が強く、エンジニアが長くCOBOLに携わる傾向があります。これは、中国や都市部のベトナムでは得にくい安定性です。

また、日本語力と品質面でも改善が進んでいます。当社では日本業務経験者のBrSEを配置し、日本語コミュニケーションだけでなく、業務知識や品質管理を日本式で教育しています。これにより、国内委託に近い品質での運用が可能になっています。

▼以下の記事でCOBOL運用保守のベトナム活用について詳しく解説しています▼
COBOL外注の新常識:国内委託に代わるベトナム活用という選択肢

ベトナムでCOBOL保守体制を構築するには

ベトナムでのCOBOL保守は、いきなり大規模に始めるのではなく、小さく試して徐々に拡大するのが現実的です。
一般的には、1カ月で環境準備、3カ月で体制を安定化させるステップ型構築が適しています。初期段階では、シニアCOBOLエンジニアが業務内容を整理し、ドキュメント整備やナレッジトランスファーを行います。

特に重要なのが、BrSEの日本常駐によるナレッジトランスファーです。初期数カ月はブリッジSEが直接国内で業務知識を吸収し、それを現地チームへ展開することで属人化を防ぎます。
体制としては、BrSE、シニア、ミドル、ジュニア、QC各1名の5名体制が標準的です。案件が安定すれば、段階的に人員を増やすことで、コストと品質を両立できます。

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まとめ:COBOL保守の次の選択肢を考える

いかがでしたでしょうか?

中国オフショアはかつてのような安定供給が難しくなり、国内だけでは人材不足を補えません。こうした中、長期的に人材を確保できる新しい選択肢としてベトナムが現実味を帯びています

当社では、大学連携による人材育成、BrSE常駐によるナレッジトランスファー、ステップ型のチーム構築支援など、長期運用を前提としたCOBOL保守体制を提供しています。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!