オフショア開発ではコストや工数に注目が集まり、UI/UXの重要性が後回しにされるケースが多くあります。
その結果、次のような課題が発生します。
- 機能は実装されているが、ユーザーが迷う画面構成
- 国内の利用者が想定した動線と、海外側のデザイン思想が噛み合わない
- ガイドラインが共有されておらず、画面ごとにバラバラの印象になる
日本企業の「使いやすさの基準」は非常に高く、海外チームの標準だけでは満たせないことも少なくありません。
このギャップを埋めるためには、UI/UXを“開発の後ろに置かない”体制づくりが不可欠です。
目次
この記事はこんな人に読まれています。
- オフショア開発で「機能は動くのに使いにくい」システムが出来上がった経験のある方
- 海外チームとの開発でUI/UXの品質が安定せず、改善したい企業担当者
- デザイン工程を軽視せず、業務効率につながるプロダクトをつくりたいと考えている方
よくある失敗①:デザインなしで画面設計に入ってしまう
オフショアで頻発するのが、「要件定義 → 画面設計 → 開発」というフローの中で、デザイン工程が存在しないパターンです。
日本では、設計書だけでは表現しきれない“使いやすさの感覚”が多く存在します。
しかし、デザインが無いまま画面設計を行うと、以下の問題が積み上がります。
- ページ遷移が複雑ボタン配置のルールが一貫しない
- 一覧画面の情報量が多すぎる、または少なすぎる
- 入力フォームの動線が業務に合わない
結果として、「業務効率化のために導入したシステム」で、かえって作業時間が増えることさえあります。
改善のポイント
- デザイン工程を事前にスケジュールへ組み込み、後工程に押し出されないようにする
- 主要画面だけでも「ワイヤーフレーム → UIデザイン → レビュー」の流れを確保する
- スマラボが提供している“日本人デザイナーによるUI最適化”は、まさにこの問題を解消するための工程です。
よくある失敗②:日本ユーザーの“利用文脈”が共有されていない
UI設計において、日本企業の業務プロセスは非常に複雑です。
特に、承認フロー・帳票出力・検索条件などは、海外チームの経験だけでは理解しきれません。
よく起きる誤解
- 海外側は「画面が表示されて入力できればOK」と判断する
- しかし日本側は「業務スピードが上がる導線」を求めている
- 業務知識が共有されていないため、“意図”が伝わらない
このギャップは、単なる言語の問題ではなく、業務文化の違いから発生します。
突破のポイント
- デザインレビューの際に、操作シナリオや業務フローを合わせて説明する
- 「なぜこの配置にするのか」を理由とともに共有する
- 実業務に即したモック(簡易画面)を用いて確認する
UIとは“操作のしやすさ”ではなく、“業務が成立するデザイン”であるという前提を共有することが大切です。
よくある失敗③:ガイドラインが無く、画面ごとにデザインが揺れていく
オフショアでは複数のエンジニアが同時に開発を進めるため、ガイドラインが無いと次第に画面ごとに印象の違いが生まれます。
たとえば、以下のようなズレが積み重なります。
- フォントが画面ごとに異なる
- ボタンの角丸や影の付け方が統一されていない
- 入力フォームのラベル位置がバラバラ
- エラーメッセージの表現ゆれが発生する
ユーザーは、この“細かいブレ”を不信感として受け取ります。
改善のポイント
- UIコンポーネント(ボタン・フォームなど)のガイドラインを作成する
- 画面ごとではなく“要素ごと”に統一ルールを定める
- デザイナーと開発者のレビューラインを統合する
スマラボでは、日本側デザイナーがコンポーネント管理とレビューまで担当し、バラつきを早期に抑える体制をとっています。
よくある失敗④:ウォーターフォールで進めて後から修正できなくなる
デザインは実際の操作感を確かめながら育てる工程です。
しかし、ウォーターフォールで画面設計が確定すると、後から改修しにくくなります。
その結果、
- 「使いづらい」と現場から声が上がる
- しかし工程が進んでおり修正に大きな工数が必要
- 開発が完了しても“現場が使わない”状態になる
という事態が起きます。
突破のポイント
- 要件確定後も「デザインの微調整」は可能な工程設計にする
- 主要画面は先行してアジャイルで作り、実際に触って検証する
- リリース前に“操作性テスト”を挟む
UI改修は後半になるほどコストが膨らむため、初期段階からの柔軟性が重要です。
海外と協業しながら“使える”プロダクトをつくるための3つの原則
ここまでの内容をまとめると、海外チームとのUI/UX設計には3つの原則があります。
1.デザイン工程を開発の前に組み込むこと
設計・開発より前にUIの方向性をすり合わせることで、画面ブレの大半を防げます。
2.業務理解を共有し、“なぜこのUIにするのか”を明確に伝えること
UIは“見た目”ではなく“業務の道具”であるという前提を共有します。
3.ガイドラインとレビューラインでバラつきを抑えること
ガイドラインがあるだけでも、オフショア側の実装品質は大きく安定します。
スマラボの体制では、日本人デザイナーが要件整理・UI最適化・レビューまで一気通貫で支援し、海外開発で起こりやすいUI/UXの課題を初期から抑え込むことが可能です。
まとめ:UI/UXは“後から整える”のではなく“最初から作り込む”工程です
海外チームで開発する場合、デザインとUIはもっとも誤解が生まれやすい領域です。
しかし、適切な工程とレビュー体制を組めば、国内開発と同等の“使えるプロダクト”を実現できます。
- デザインを軽視しない
- 業務文脈を丁寧に共有する
- ガイドラインで揺れを防ぐ
- 柔軟な工程設計で改修可能性を残す
これらを押さえることで、ユーザーが自然に操作できる高品質なUIが生まれ、結果として業務効率を大幅に高めることができます。
海外開発でデザイン品質を担保することは難しくありません。
重要なのは、“正しい設計とコミュニケーション構造”を持つことです。
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