レガシーシステムとして多くの企業で稼働を続けているCOBOL。しかし、開発当初の担当者が定年退職を迎え、引き継ぎもままならないまま、社内での保守継続が困難になっているケースが急増しています。業務が止まるわけにはいかない一方、COBOL人材の新規採用や育成も難しいという声は少なくありません。

そのような背景の中、「COBOL保守を外注する」という選択肢が再注目されています。ところが、実際に外注を検討し始めると、今度は「国内委託にすべきか、海外(オフショア)に委託すべきか」で迷う担当者も多いのが実情です。

本記事では、COBOL保守を外注する際の国内・海外それぞれの特徴や、判断時に見るべきポイントについて整理します。

この記事はこんな人にオススメ!

  • COBOL保守の外注を検討しているが、国内と海外どちらが良いか判断できない
  • 社内にCOBOLのノウハウがなく、長期的な運用体制に不安を感じている
  • 海外委託に興味はあるが、品質や言語面のリスクが気になっている

国内委託のメリット・デメリット

まずは、国内でのCOBOL保守委託について見ていきましょう。

最大のメリットは、日本語でのスムーズなコミュニケーションが可能な点です。仕様変更や障害対応といった緊急性の高い対応にも、タイムラグなく対処しやすいのは国内ならではの利点です。また、日本特有の業務フローや慣習への理解も深く、要件の擦り合わせやドキュメント作成にかかる負担が軽減されることも期待できます。

一方で課題となるのが、対応できる企業・人材の希少性とコストの高さです。COBOL保守を担える企業は年々減っており、若手エンジニアの確保も難しい状況です。そのため、委託先の選択肢が限られ、依頼できたとしても人月単価が高くなる傾向があります。さらに、ベテラン頼みの体制では将来的な継続性にも不安が残ります。

つまり、国内委託は「密な連携」「正確な業務理解」には強みがあるものの、長期的な運用体制やコスト面では課題を抱えているのが現状です。

海外委託(オフショア)のメリット・デメリット

続いて、海外(オフショア)委託の特徴について整理します。

最大の魅力はコストの最適化と人材の供給力です。国や企業によって差はありますが、東南アジアを中心にCOBOL対応が可能な企業が増えており、特にラボ型契約などを活用すれば長期的な体制構築が可能になります。現地にCOBOL教育機関を持ち、若手エンジニアを育成しているケースもあり、ベテラン不足に悩む日本企業にとっては貴重なパートナーとなり得ます。

一方で注意すべきは、日本語や業務知識の壁です。要件を正確に伝えるためには、日本語が通じるブリッジSEの存在や、仕様書・ドキュメントの精度が非常に重要になります。また、時差や文化の違いにより、認識齟齬が発生するリスクもゼロではありません。

さらに、セキュリティ体制や契約リスクについても慎重な確認が必要です。実績のある企業であっても、機密保持体制・運用ガイドラインが明確でなければ、長期運用時にトラブルを招く可能性があります。

総じて、海外委託は体制の柔軟性とコストメリットに優れる一方で、信頼できるパートナー選びや運用ルールの設計が成功の鍵を握ると言えるでしょう。

判断のポイントは「体制の継続性」と「保守範囲の見える化」

「国内か、海外か」で迷った際に大切なのは、単純なコスト比較ではなく、中長期で見た体制の安定性と再現性です。特にCOBOLの場合、属人化しやすい構造や複雑な業務連携があるため、「誰が」「どの範囲を」「どのように」保守できるかを明らかにすることが重要です。

もしシステム全体がブラックボックス化しており、設計書や業務仕様が整理されていない場合、まずは国内で棚卸しとドキュメント整備を実施したうえで、その後に海外委託へ移行するという段階的アプローチが現実的です。

また、委託先を選定する際は、「一定の教育体制」「日本語でのやり取りの可否」「過去の実績」など、長期的な信頼関係が築けるかどうかを優先的に確認しましょう。

ベトナム唯一の「COBOL保全体制構築サービス」という選択肢

最近では、日本企業のニーズに応えるべく、「COBOLを継続して支えるための専用チーム」をベトナムで構築・運営する取り組みが生まれています。単にコストダウンを目的としたオフショアではなく、「属人化を防ぐ継続保全体制」にフォーカスしているのが特徴です。

特に「中国オフショアからの脱却」を検討する企業にとっては、セキュリティ・ガバナンス面でも安心できる移行先として注目されています。初期検討段階では、「ベトナムでCOBOLができるのか?」という疑問を持たれることもありますが、実際に導入企業の声やトライアル事例を通じて、信頼性を評価する企業が増えています。

おわりに:目指すべきは“長く任せられる体制づくり”

COBOL保守の外注先を国内と海外のどちらにすべきかは、企業の事情やシステムの状態によって変わります。大切なのは、目先の価格差ではなく、「この先5年、10年と任せられる体制をつくれるかどうか」という視点です。最初からすべてを丸投げするのではなく、まずは一部の業務やサブシステムから小さく外注し、徐々に信頼関係を築いていく方法もあります。

人材不足が深刻化する中、COBOL保守の体制づくりは待ったなしの課題です。国内外の選択肢を視野に入れながら、“誰に任せるか”を判断できる視座を持つことが、これからの時代に必要とされる戦略となるでしょう。

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