オフショア開発とは

オフショア開発(offshore development)とは、ある国の企業がシステム開発やアプリケーション開発を別の国の企業や個人に委託することを指します。国内より人件費が安い海外の企業へ開発作業を委託することで、コスト削減やITリソースの確保を叶える開発手法です。

オフショア(offshore)は、岸を意味する「shore」と離れるの「off」が組み合わさった言葉で、ビジネス用語としては「オフショア」は「海外」という意味を持ちます。つまりオフショア開発(offshore Development)とは、海外企業に開発業務を委託することを指しています。

オフショア開発は、日本企業においては1990年代ごろから取り組み始めたと言われており、コスト削減の手段の1つとして活用されてきました。
しかし、近年では国内のIT需要が高まる中、リソース確保がより一層難しくなっていることから自社戦略実現のための「IT人材のリソース調達」や「高い技術力」を求めてオフショア開発を活用する企業が増えています。一方、文化や言語の違い、タイムゾーンの違い、コミュニケーションの問題などが発生する可能性があるため、オフショア活用を成功させる為には、オフショア開発における適切なプロジェクト管理やコミュニケーションの工夫が重要です。

オフショア開発のメリット

オフショア開発を活用するメリットは大きく下記3つが挙げられます

  • コスト削減ができる
  • IT人材を必要なタイミングで確保できる
  • 自社専用の開発チーム

コスト削減ができる

オフショア開発の大きなメリットの一つは、コストが削減できることです。
日本と比較してエンジニアの人件費が安い国へ開発業務を委託することで、人件費を削減することができます。

例えば、ベトナムの人件費は日本の1/2~1/3程度と言われています。 同じスキルのエンジニアを雇用するのに、オフショア開発を活用することで、人件費を削減することができます。システム開発費用の大半を占めるのが人件費で全体の8割を占めるとも言われているので、人件費を抑えることができればプロジェクトの営業利益を向上させることに繋がります。

IT人材を必要なタイミングで確保できる

ベトナムやバングラディッシュをはじめとしたオフショア開発国ではエンジニアが豊富でリソースが確保しやすく、さらに情報通信分野やデジタル分野での企業が増加しており、国策としてエンジニア教育に力を入れていることから、今後も若くて優秀なエンジニアが増えていくことが予想されます。

日本国内では時間が掛かってしまうエンジニアの採用がオフショア開発を活用することで、プロジェクトに合うスキルや技術を持つ優秀なエンジニアを必要なタイミングで確保することができます。

自社専用の開発チームが作れる

オフショア開発ではラボ契約(準委任契約)を締結することでプロジェクトに必要なスキルを持つエンジニアによって編成された自社専用の開発チームを作ることができます。ラボ契約は契約期間内であれば自由に開発を行うことができ、仕様変更なども柔軟に対応できます。詳細な仕様が定まっておらず、開発しながら決めていきたいプロジェクトなどにとても向いています。

また、開発チームメンバーを固定することができるため、サービスやシステムのノウハウやナレッジ蓄積することができ、生産性と品質が安定した開発を行うことができるのもラボ契約の特徴の一つです。

オフショア開発を活用することによって自社の開発チームのように自由な指示出しができる専用の開発チームを作ることができます。

オフショア開発のデメリット

オフショア開発では、言語の壁・文化の壁・時差・物理的距離などの要因から下記のようなデメリットが発生する可能性があります。

  • コミュニケーションコストが高くなる
  • 時差などの影響によるスケジュール遅延
  • ビジネス習慣の違いなどを理解する必要がある

コミュニケーションコストが高くなる

オフショア開発では海外のリソースを活用するため、コミュニケーションコストが高くなることがあります。
文化の違いや物理的な距離の影響もあり日本人同士であれば伝わることがオフショア開発の場合はクライアントとオフショア開発拠点スタッフの間で認識のズレが発生してしまうこともあります。
認識のズレを起こさないためにも丁寧なコミュニケーションが必要となり、結果としてコミュニケーションコストが高くなってしまう可能性があります。

時差などの影響によるスケジュール遅延

オフショア開発では時差などの影響によりスケジュールが遅延してしまうことがあります。
日本とオフショア開発国との時差や祝日が異なることから、仕様変更やトラブルの発生時などすぐに確認を行いたい場合に時間を要してしまう場合があります。(日本においては時差の少ない東南アジアのオフショア開発が人気の理由の一つです。)

また、文化的・地理的な隔たりによる進捗管理の難しさや認識のズレにより何度も修正が発生してしまうなど、結果としてスケジュールが間に合わないということが起こる可能性があります。

ビジネス習慣の違いなどを理解する必要がある

オフショア開発を行う上でオフショア開発先国のビジネス習慣や文化の違いを理解することはとても重要です。国が違えばビジネスの習慣が異なります。

例えば日本では納期を間に合わせるため残業や休日出勤を行うことがありますが、国によっては家族との時間を優先したい為、残業に対して消極的な文化もあります。
また、報連相の違いや委託元と委託先の関係から評価を気にしてしまうなど、問題が発生した場合に自分たちだけで解決してしまうといったこともあります。オフショア開発先国のビジネス習慣に寄り添いながら進めていく必要があります。

オフショア開発を成功させるには

オフショア開発を失敗に終わらせない為には下記のポイントに気を付ける必要があります。

  • PJ開始前にクライアントとオフショア開発先の双方の理解を深める
  • コミュニケーションの方法を工夫する
  • 早期に品質のチェックを行う

それぞれ詳しく見て行きましょう。

PJ開始前にクライアントとオフショア開発先の双方の理解を深める

オフショア開発ではPJを開始する前に日本側とオフショア開発拠点側のメンバー全員の理解を深め共通の認識を持つことがとても重要です。

PJ開始前に日本側が求める品質や納期をオフショア開発拠点のスタッフに理解・納得してもらった上で開発をスタートできれば彼らのモチベーションや後の品質が良い方向に進むことに繋がります。PJ開始前にはキックオフを行いましょう。

また、キックオフの前にはオフショア開発先国の文化や国民性をインターネットで検索するなど、文化やビジネス習慣の違いを理解して寄り添うことで信頼関係を構築することに繋がります。もし可能であれば日本人プロジェクトメンバーが1人でもオフショア開発拠点現地へ行き、対面にてキックオフをすることをおすすめします。

コミュニケーションの方法を工夫する

オフショア開発を失敗させてないためにはコミュニケーションの方法を工夫することも大切です。
オフショア開発を進めるうえで、進捗報告やレビューなどプロジェクトの様々な場面でオフショア開発拠点のメンバーとコミュニケーションを取る機会があるかと思いますが、コミュニケーションの方法を工夫することで認識のズレの回避やコミュニケーションコストを削減できることに繋がります。

【オフショア開発におけるコミュニケーションの工夫のポイント】
  • 翻訳が必要な資料は短文・完結・箇条書き・粒度をそろえた日本語にして書くようにする
  • 用語集を作成する(日本語、英語、現地で並列表記する)
  • 報連相の方法を明確にしておく(いつ、誰が、どのように)
  • 進捗報告は定型フォーマットを活用し、記載内容の属人化を防ぐ
  • 議事録担当者を決め、会議毎に記録を取り共有する(言った言わないを防ぐ)
  • 丁寧な日本語を使いすぎず、指示を明確にする
  • 相手が理解したか、確認を行う(「大丈夫です」ではなく、具体的に説明してもらう)
  • クライアント側とBSEは時間を決めて日々、進捗確認を行う(15分-30分程度でも毎日やる)

また、オフショア開発拠点とのコミュニケーションは雑談も交えたコミュニケーションも取ることが大切です。日頃からクライアント側が雑談も含めたコミュニケーションを積極的にかわすことで、相談しやすい環境を作ることができます。

早期に品質のチェックを行う

オフショア開発に限らずではありますが、品質管理で重要なことは異常や違和感を早期に発見して、早い段階で修正を行うことです。オフショア開発においてはより強化して頂きたいポイントになります。開発スタート時は特に短い期間で品質の確認を行い、品質が良くない場合には、スキル不足によるものなのか、仕様の理解不足によるものなのか、原因探り、解決策を検討しましょう。

オフショア開発で人気の国

オフショア開発で人気の国は中国、ベトナム、インド、ミャンマーの4ヶ国が挙げられます。

IT大国として優秀な技術者の多いインド、オフショア開発の長い歴史がある中国は、依然として大きな需要がありますが、近年、オフショア開発先として人気を集めているのはベトナムです。
ベトナムが人気の理由としては、インド・中国に比べて人件費が安いこと、親日で真面目な国民性などが日本と相性がよいと言われています。 また、ベトナムは国策としてエンジニアを増やしている為、日本では確保しにくい優秀なエンジニアがベトナムでは確保しやすいという事情もあります。日本語ができる人が多いというのもベトナムの特徴です。これらのポイントがベトナムオフショア開発が人気となっている理由です。

まとめ

オフショア開発はメリット・デメリットがありますが、エンジニア不足が進む日本ではオフショア開発を検討せざる負えない企業がこれから増えてくると考えられます。まだオフショア開発を導入していない方も、自社の案件はオフショアでも対応できるのか、対応できるようにするためには今のうちにどのような準備が必要か前もって検討することをお勧め致します。

ベトナムオフショア開発ならスマラボ

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